シャトー・モンペラ 2005 デスパーニュ家
Chateau Mont Pérat 2005 Despagne
モーニングに連載されている神の雫に”オーパスワンに引けを取らないワイン”と掲載され、また、パーカーが、”まだ名前の知られていない最高のボルドー・ワイン”と評したためか、人気が出てきたワインです。
行きつけのワインショップで、そのモンペラ 2005 を見つけたのは昨年末。何度か購入を考えたが、¥3990 に躊躇していました。この価格を出すと、違うショップのフェアーであれば、ドモワゼル・ド・ソシアンドマレ(ソシアンドマレのセカンド)が購入できる価格で、普段飲みのエリタージュ・シャススプリーン(シャススプリーンのセカンド)より¥1000程高かったからです。
しかし、その違うショップでもワイン全体が値上がりし、ドモワゼル・ド・ソシアンドマレは¥5000近く、エリタージュ・シャススプリーンも¥3500 近くになったので、それであればと購入しました。
AOCでみると、プルミエール・コート・ド・ボルドー(Premièr Côtes de Bordeaux)地区。
プルミエール・コート・ド・ボルドー地区は位置で言えば、ガロンヌ河の左岸にペサック・レオニャンからバルサック、ソーテルヌ地区の対岸(右岸)に位置する地域になります。
2005年のセパージュは、そのワインショップによると、メルロー 75%に、カベルネ・ソーヴィニヨン 15%、カベルネ・フラン 10%とのこと。また、モンペラを作るデスパーニュ家では、樹齢 25年以上のブドウの樹から収穫されるブドウを用い、1本のブドウの樹に 6〜8 房しかブドウを残さないという収穫制限の方針を貫いているらしいです。
話題のワインを抜栓し、とりあえずデキャンタージュなしでテイスティングしてみると、ジャムのような甘い香りが広がり、少しユーカリとかミントとかの香りが後からしてきます。香りだけで期待が持てそうな感じでしたが、その香りは、ボルドーワインというよりレシュノーのニュイ・サン・ジョルジュに近い。メルローの配合が多いからでしょうか。
味わいは、一口目に、それなりに渋み、タンニンを感じます。が、ガツンという感じではなく、一瞬、口がシュンと閉まる感じで、後味は苦くもなく甘味があり、ボディーはしっかりしています。この感覚からはメルロー主体であるとは感じませんでした。
タンニンがそこそこ強かったし、ボディーも感じたので、ブルディガラの現ディレクトール(だったと思います)をしておられる片桐氏が大阪店のマネージャー時代に教えてもらったデキャンタの上面にワインを注ぐという強めのデキャンタージュを行い、飲んでみました。
香りは、ジャム的な甘い香りが弱まり、鉄分を感じます。ブルゴーニュほどの官能的な香りの主張はなく、熟成したボルドーの穏やかながら芳しい香りもなく、控えめな香りに、ほんのりチョコレート的な香り。
味わいも、渋みの収斂性は弱まり、なぜか甘味までデキャンタージュにより弱まってしまいます。そして、味わいにも、なんとなく鉄分を感じ、少し、枝や種のような感じが出てきています。(エリタージュ・シャススプリーン、ゾルム・ド・ベスの若いものに感じることが多かったです)
この段階では、デキャンタージュしないほうが、デキャンタージュしたてよりは美味しく感じます。
料理とあわせてみましょう。まず最初は、市販の鴨スモークです。鴨スモークの薫香とあわせると、ワインの旨味が際立ち、なんとなく、トロロ昆布や鰹節のような旨味です。この旨味を私は熟成したボルドーからよく感じるもので、それが感じると言う事は、デキャンタージュでそれなりに開いたと言う事でしょうか。
時間経過(デキャンタ後10分程度)と共に、強さが消え、甘味が出てきますが、パワー自体も大分落ちてきています。ワインのアタックはどんどん弱くなっていきます。この感じから思うに、長期熟成には耐えられないのではないか? と疑念がわきます。
さらなる時間経過と共に、どんどんマイルドさが際立ち、奥行きもなくなっていく感じ。
次いで市販のカマンベールのピザとあわせましたが、こちらはどうということはありませんでした。
さて、メインまでにさらに 30分以上経つと、大分、落ち着いてきました。
メインは後日、グルメレシピでも紹介します仔羊のローストですが、前回、この料理は、あまり甘みを感じず、渋みの要素が強めなエリタージュ・シャススプリーンとあわせ、かなり満足のいくしっかりした料理なので、ちょっとワインが負けるのでは?と思いながら飲み始めましたが、意外にも、一方的に負けることはなく、楽しく飲めました。
考察するに、急激な空気との接触で、ワインが不安定になり、一時期、弱まったものの、落ち着いてきてポテンシャルを取り戻したように感じます。
強めのデキャンタージュに問題があったと思えますので、現段階では評価は据え置きます。
次回、普通にデキャンタージュして評価したいと思いますが、今回においても、その値段を考えると、充分に【買い】なワインであることは確実です。
私は一人で時間をかけて飲んでいますので、4人ぐらいで1時間前くらいにデキャンタージュし、それを飲んでみると、また、違った味わいが出てくると思います。
ただ、オーパスワンやマルゴーを上回ると言うのは大げさに思えます。確かに、テイスティングで一口飲んでみると、負けないだけのインパクトや果実味と甘味、大物感を感じることはありますが、時間経過による変化の多彩さや面白さの点では、今回飲んだ限りでは、マルゴーには到底及ばないと思います。
もっとも、値段の対比を行い、一円あたりの価値で考えると、人それぞれの回答が出ると思いますが。
(本日、さらに 3本追加購入しました。一本は普通のデキャンタージュを行い、近日中に、再び、結果報告します。)